言葉と音楽

好きな、本、映画、音楽について綴ります。金城一紀、村上春樹、西加奈子、サカナクション、椎名林檎が好きです。

金城一紀『対話篇』

私の好きな作家に金城一紀という作家がいます。

 

金城一紀さんの小説は映画化・ドラマ化されているものも多く、

金城一紀さんの名前は知らなくても金城さん原作の作品を観たことがある方は多いと思います。

窪塚洋介さん、柴咲コウさん主演の映画『GO』

V6の岡田准一さん、堤真一さん主演の映画『フライ・ダディ・フライ』や『SP』シリーズなど。

最近は原作とは違いますが、山田孝之さんと菅田将暉さん主演のドラマ『dele』にも関わっているそうです。

 

そんな金城さんの作品でとても好きな作品があります。

 それは『対話篇』という小説です。

 

 

 


対話篇(新潮文庫)【電子書籍】[ 金城一紀 ]

 

 

 

タイトルの通り「対話」で進んで行くストーリー。

 

 

・恋愛小説

・永遠の円環

・花

 

この3つの中編小説で構成されています。

そんなに厚い小説ではないので、普段小説を読まない方でも読みやすいと思います。

 

 

 

・恋愛小説

主人公の大学生「僕」と、同級生の「彼」とのストーリー。

クラスで〈透明人間〉と呼ばれていた「彼」に家に招かれた「僕」。

大豪邸に住む彼だが、広い家にただ一人で住んでいる。

「ご両親は?」と僕が聞くと「僕が殺したようなものなんだ」と答える彼。

穏やかな彼だが、なぜか彼と関わった人は死んでいってしまうという。

そんな彼が語る彼の恋愛についての話。

 

・永遠の円環

余命いくばくもない主人公と同級生Kとの対話で進められていく。

最愛の恋人を自殺失った主人公は、自殺の原因となった人物を殺そうと画策する。

しかし、余命短い主人公は体力もなく病院から出られない。

そこで同級生のKに殺人の共犯になって欲しいと話を持ちかけるのだが…。

 

・花

主人公と老齢の敏腕弁護士鳥越氏との旅の話。

東京から鹿児島まで車で旅をするという鳥越氏と

ひょんなことから同行することになる主人公。

車中での対話の中で、鳥越氏の過去と旅の目的が明らかになっていく。

 

どの作品も軽妙でありながらとても静かでシリアスな文体で書かれています。

金城さんの作品はどの作品もそうなのですが、

まるで映画をみているかのように目の前に映像が浮かんできます。

対話の中で静かに語られていく過去に自然と涙が溢れてきます。

どの作品も、誰にも邪魔されないような静かな場所で読んでいただきたいです。

読後はぜひ余韻に浸って欲しいです。

 

「恋愛小説」は玉木宏さん主演で、「花」は大沢たかおさんと柄本明さん主演で映画化もされています。

どちらの映画も美しい良い作品でした。

ぜひ、ご覧になって見てください。